気象情報会社で働く娘、田中えりなさんは、この秋、職場の同僚と結婚する。
今年は、同じ名字で迎える最後の父の日。
プレゼントには、父の思い出の酒と缶詰を選び、そして、二人で飲もうと決めた。
選んだのは、アメリカのバーボン、ワイルドターキー。
昭和の時代、映画スターがバーボンを飲むシーンに憧れた若き日の父が、
特に好きだったのが、ワイルドターキーで、
仲間とグラス片手に夢を語りあったと聞いたことがあったからだ。
父は、新婚旅行でも、免税店で買ったワイルドターキーのボトルを懐に忍ばせ、
ニュージーランドを巡ったという。
雄大な南半球の自然を眺めながら夫婦でグラスを傾け、数年後、娘が生まれた。
よく考えると、父にとって、ワイルドターキーは、
人生の希望や夢と切り離せない酒なのかもしれない。
休日になると車でいろんなところに連れて行ってくれる父だった。
山や海、動物園、博物館、遊園地、おかげで好奇心おう盛になり、大学は理科系に進学。
いまの自分があるのは、忙しい時間を割いて遊んでくれた父のおかげだと感謝している。
そんな父は、娘が成人した年、56歳にして冒険をした。
大阪で伝統工芸の工房を営む旧友が、東京進出をすることになり、
「力を貸して欲しい」と頼んできたのだ。
堺の「にじゆら」という注染手ぬぐいの工房だった。
もちろん父は、経験ゼロ。
しかも当時、父は、或る企業の社長という安定した地位にいた。
この年齢からの転身は、リスクしかなかった。
旧友は、最初に勤めた大手電機メーカーの元同僚で、昔、一緒にバーボンを飲んだ仲だった。
父は、安定よりも友情を選んだ。
初めの頃は、悪戦苦闘の連続で、家族を心配させた父だったが、
1年、2年と経つうちに、仕事に慣れ、生き生きとした表情を取り戻すようになってきた。
いまでは、家族全員が、父の冒険が正しかったと感じているし、
娘は、そんな父が大好きだ。
口には出したことがないが、
淡い色合いの手ぬぐいをスカーフのように襟元に巻く父のセンスは、
この年にしたらイケてると思っている。
父の仕事を誇らしく思い、もちろん自ら「にじゆら」の手ぬぐいを愛用する。
友人や同僚に「にじゆら」の手ぬぐいを勧め、ファンがじわじわ増えている。
今年の6月17日は、特別な父の日。
娘が選んだプレゼントは、
8年物のワイルドターキーと
おいしい缶詰「プレミアムほぐしコンビーフ(粗挽き黒胡椒味)」。
「育ててくれてありがとう。晩酌にバーボン飲んで、
いつまでもカッコいいお父さんでいてね」
父は、バーボンをロックで。
娘は、ソーダ割りで。
そして、乾杯!
和やかに話の花が咲き、娘は父に、こんなメッセージを贈りました。
思わずホロリとする田中さん。
まさに、「父・缶動」の一夜でありました。
プレミアムほぐしコンビーフ(粗挽き黒胡椒味)
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